その年から初めて実施された幼稚園での尿検査。『病院での再検査』と書かれた結果表を渡されました。自身の尿検査等、過去の経験も含め深く考えることもなく軽い気持ちで病院へ足を運び再検査を受けました。検査結果後、先生から出た言葉は「病院を紹介するので即入院して下さい」というものでした。当時、食事後すぐということもあり、血糖値が通常の4倍近い値でいつ倒れてもおかしくないとのこと。身内にも糖尿患者はおらず、『1型糖尿病』という言葉さえも知りませんでした。

小児糖尿病専門医がいる病院に搬送され即入院となったわけですが、正直なところ、まるで夢の中にいるようで現実を受け入れるまでに入院期間の2週間では足りないくらいでした。その私の気持ちを変えた一言は同じ小児病棟に入院していた子供のお母さんの「インスリンさえ打ってれば、普通に生活できるんでしょ?」という言葉。確かにその子は退院することもできず院内学校での勉強、そんな生活でした。

『普通ってなんだろう?』とガツンと考えさせられた一言でした。働いてお金稼いで遊んで楽しんで生活する。いや、それどころか見れて聞けて歩けて食べられて…笑えて泣けて悲しめて…私が普通と思って当たり前と思っていることが普通じゃない人がたくさんいるからです。じゃ、普通の生活ってなんだろう?

娘は現在12歳、発症から7年経ち食する度にインスリンを打ち続ける生活を当たり前のように続けていますが、娘がもっともっとお姉さんになる頃、もっと素晴らしい新薬が発明されていることを信じています。

『普通』って、その人自身が決めることであって、周りの誰かと比べることじゃない。わかっていてもとてもとても難しく、いつもぶち当たる壁でもあります。

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